❤️俺の抱擁に溺れろ、お前の全てが欲しい、極道の一途な愛
「大丈夫です、拓真さんの側にいさせてください」

大館の心配をよそにかすみは拓真の側にずっと寄り添っていた。

一週間、拓真の意識は戻らない。

一般病棟に移り、かすみも相変わらず拓真の側から離れなかった。

拓真さん、あなたは春日部コーポレーションにとっても、新堂組にとっても、

なくてはならない人です。

私は三年前に癌を患ってから、なるべく関わりを持つ人がいない人生を送ってきた。

私がいなくなっても悲しむ人がいないように……

だから、神様、もし私にまだ命が残っているのなら、拓真さんにあげてください。

お願いします。

拓真さんに……

かすみは拓真にキスをした。

まるで魂を吹き込むかのように深いキスを……

拓真さん、ごめんなさい、私もうダメかもしれない。

かすみはベッドから崩れ落ちた。

「かすみさん、しっかりしてください」

かすみはストレッチャーで処置室に運ばれた。

ベッドに横になっている拓真はその直後、まるでかすみのキスで目覚めたかのように、

気づいた。

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