王子様は拗らせお姫様の虜
「ふーっ」

事務所の時計はすでに、23時を回っている。

僕は、両手を上げて伸びをすると、デスクの一番下の引き出しにそっと隠してある、エメラルドグリーンの小さな紙袋を見つめた。

女の子の為に、真剣にプレゼントを選ぶのなんて、初めてで、店に入るのもさすがの僕も緊張した。 

「実花子、喜ぶかな」

ショーケースの中のキラキラと光るジュエリーの中から、実花子に似合うのをあれこれ考えながら、選ぶのは想像以上に、幸福感に満ち溢れていた。

実花子と付き合って、1ヶ月程だが、僕は、はっきりいって、この恋に溺れている自覚がある。

こんなこと、初めてで自分でも戸惑ってしまう。こんな風に時間ができれば、すぐに実花子の声が聞きたくて、抱きしめたくて、意地悪をしながらキスしたくなる。

スマホを見れば、実花子から、『お疲れ様、残業程々にね』とメッセージがきていた。

すぐに僕は、返事を送る。

『もう家?』

『そうだけど?どうかした?』

キョトンと首を傾げた、女の子のスタンプが一緒に送られてくる。

『家に無事着いたならいいんだ。あったかくして寝てね』

僕は、そうメッセージを送り、胸を撫で下ろした。


「……実花子が心配でたまらないんだよね」
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