ドS弁護士は甘い罠を張る。~病院で目覚めたら危険な男の婚約者になってました~

弁護士ヒーローは法を武器とする

一週間ぶりの出社で最初にやるべき事は、三宅への謝罪だった。
ホテルでの一件の処理から始まり、その後も仕事を代行してくれていた。

「大変ご迷惑をおかけしました。本日から復帰しますので、またご指導よろしくお願い致します」

三宅は腕組みをしながら出迎えた。

「もう大丈夫なの? 出来ないことあったら言ってくださいね。無理されると余計に周りが迷惑なの」

「はいっ、あ、重いものはまだ持てません。あと足首をまだ固定しているので歩くのが遅いです」

ありのままを伝えるとジロリと睨まれる。

「一週間くらいは、外回りはわたしがやるわ。旭川さんはこれを機会に書類の処理方法を覚えて」

「はい。ありがとうございます。堪ってる仕事とかありますか? 優先して進めます」

「わたしが務めたのに、仕事が滞るわけないでしょう?!」

「ひえっ」

ぴしゃりと怒られて文は飛び上がる。
確かにデスク周りは自分がやっていたときより綺麗だし、パソコンを起動すれば殆どの業務が処理が終わっている。

引き継ぎもちゃんとわかるように指示があり、この一週間の業務のマニュアルもある。

「三宅先輩……格好いい。尊敬です……あの、お礼をさせてください。今度お酒でも……」

「わたし仕事出来ない人嫌いなの」

親しくなりたいとアピールしたらあしらわれた。

「そんなぁ」

聞き耳を立てていた吾妻が笑った。
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