【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。


「……まぁな。教育ってのは、冬馬に護衛としての基礎をもう一度叩き込むことだ。あいつには姫を任されてるっていう自覚が足りなかった」


「自覚が足りなかったのは私も同じだよ。だから、冬馬くんのことは」


「大目にみろってか?」

私が言いたかったことを先に口にする怜央。


今日のことは、私がもっと警戒をしていれば防げた話だ。

つまり、私が言いたかったのは冬馬くんだけの責任ではないということ。

だけど、怜央の意見は私とは違っていた。

「どんなことがあっても姫を護る。それが護衛の役目だ。冬馬がしっかりしていれば連れ去られるなんてことはなかった」

「でも、」


「悪いが瑠佳の頼みは聞けない。教育は闇狼にとって必要なことなんだ。これからも姫を護るために」


闇狼の総長である怜央にそう言われたら、私はもう返す言葉もない。

“これからも姫を護るために”

次に狂猫が動いた時、狙われるのが私とは限らない。

もし、今日攫われたのが櫻子さんだったら……。

取り返しのつかないことになっていたかもしれない。

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