【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。
怜央が用意してくれたTシャツは少しサイズが大きくて、うちとは違う柔軟剤の香りになんだか心が落ち着かなかった。
「怜央ー。お風呂ありがとう」
そう声をかけながら扉を開けると、ソファに腰掛けていた怜央と目があった。
テーブルに置かれていたスマホからは真宙くんの声がして、通話の最中だと察した私は引き返そうとする。
けれど、そんな私を見て「それじゃあ、冬馬の教育はお前に任せた」と言い一方的に通話を終了させた怜央。
「電話良かったの。話の途中じゃなかった?」
「要件は伝えた」
「そっか。あ、あの、ちょっと気になったことがあるんだけど……」
「ん?」
「教育って何?もしかして、今日のことが関係あるの?」
電話を切る際に怜央が口にした不穏な一言。その真意が気になって直接、彼に尋ねてみる。