世界を救うために奮闘するお話
ローハンが顔を上げると、皆が心配そうに見つめていた。

時間にして30分くらいだっただろうか
ローハンは目を閉じ微動だに動かなかったそうだ。
「どうであったか?」と、ルシウスがローハンに尋ねる。ローハンは穏やかな笑みを浮かべると、「特に変わった事はありませんでした。姉上の言う通り、俺は俺でした。」と、言うと本を閉じて中央にグイッと押し戻した。

それを聞いて皆少し緊張が和らいだ。

そして、リコット、ルシウス、リチャードが
目を見合わせて頷くと、3人は椅子をくっつけ本を開き、同じタイミングでその本に手を触れた。

リコットとルシウスが見たものも、ローハンと変わりはなかった。

リコットは不謹慎ではあるが、幸せを噛み締めていた。いつの時代も、リコットは青い髪の黒い瞳を持った目を見張るような素敵な男性と結ばれ、その相手が今隣りにいるルシウスだと気付いたからであった。

そして、映像が途切れ3人は同時に顔を上げた。リコットが目を開けると、リチャードだけが明らかに様子がおかしかった。

「お兄様?!どうしましたか??」リコットは兄の腕を揺さぶって声をかける。

すると、リチャードは焦った様子で
「ルーシアとメイファンの話は事実らしい。俺もこの世界とは違う別の世界での記憶が確かにある。そして、俺は姿形が変わる事なく記憶を持ったまま過去に送られている。ただ、この本は未来の事は写し出されない。おかしな話だが、未来の事はモヤがかかり映像としては入って来なかった。ただ、俺が待つ魂には記憶としてしっかりと刻まれているようだ。忘れる前に書き写さなければ!!此度の夜会の件は我々は2人に感謝してもしきれないくらいだ。よく俺の書いたアレを記憶してくれていたものだ。本当にありがとう。それでは先急ぎ失礼する。話しはそれからだ。」と、立ち上がり颯爽と部屋から立ち去った。
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