復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました～溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず～

　メイナードとウオーレンは、自分の命よりも敵国の王族を助ける為に火と兵たちに立ち向かった。

「マキ、すまない。あの火や取り囲む兵たちから全員を助けることは出来なかった」

　ウオーレンが言った。彼がなにか言ったけど、頭の中がモヤモヤちくちくしすぎていて理解出来なかった。

「国王と王妃、つまりきみの父上と母上から、きみやきみの兄上や姉上を託されたんだ。だから、ウオーレンと二人できみたち三人を抱きかかえて別荘を脱出した。きみの父上や母上は、燃え盛る別荘に残ることを選んだのだ」

　つまり、お父様とお母様は、運命に抗うことなく死を選んだわけね。

「マキ、それがどれだけ辛いことかわかるか？　きみの父上と母上は、きみらを守る為に残ったのだ」

　メイナードはそう言ってくれたけれど、お父様とお母様は他人に子どもを託すことが精一杯だった。

　彼らは、自分たちが非力だとわかっていた。だから、メイナードとウオーレンのような屈強な軍人に頼るしかなかった。

　メイナードとウオーレンが、敵国の軍人であるにもかかわらず……。

　非力なお父様とお母様は、子どもたちの為にもっと抗おうという意地はまったくなかったのだ。