復讐相手の将軍閣下が望むので、専属の侍女としてお仕えすることになりました~溺愛されても餌付けされても、すべてを奪ったあなたを許すつもりはありませんのであしからず~

信じます

「あのとき、ウオーレンもおれも瀕死だった。皮膚は焼けただれ、歩くこともままならない。王都外で駐留している軍に戻るわけにもいかない。宰相派の兵がいるからだ。剣を持つことも出来ない状態では、殺されるのが目に見えている。だが、せめてきみらは守らねばならない。ウオーレンが別荘の管理人を探し当て、きみらを託した。残念ながら、それがおれたちに出来る精一杯のことだった」

 彼らは、わたしたちを別荘の管理人に託してからまったく別の場所に移動したという。みずから囮になってくれたのだ。

 焼け跡から大人二人の焼死体しか見つからない。当然、残りの大人と子どもたちがどこに行った? となるに決まっている。メイナードととウオーレンは、それを見越して囮になってくれたわけ。

 彼らは別の場所で医師に診てもらって休息し、スカンラン帝国へと逃げ戻った。

 メイナードは、そんな事をなんでもなさそうに言ったけれど、それがどれだけ大変だったかは想像に難くない。

 ちょっと待って……。

 では、わたしはずっと勘違いしていたわけ?

 というよりか、全然覚えていないんですけど。

 たしかに、わたしにはある時期から以前の記憶がない。
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