朝なけに
手を繋ぎ、中さんのマンションの部屋へと向かう。
その道中、コンビニに寄ってお泊まりに必要なものを買いたいと言う私に。


「全部買ってある」


中さんは立ち止まりそう言う。


「全部?」


全部って、全部?
買ってるの?


「今日の昼、照に付き合って貰って必要なものは買った。
つーか、照が全部選んでくれた。
だから、大丈夫だ」


「はい…」


照さんが選んだのか。
なんとなく女性慣れしている照さんなら、化粧水とかにも詳しそう、というか、その情報を訊ける女性が沢山いそう。


「前から置いてあったやつは、全部捨てた。
それでいいだろ?」


「え?捨てたのはもったいないですよね」


あの化粧水らは、とても高価なものだろうから。


「お前が思っていたように、あれらは真湖の為に俺が勝手に揃えたものだった。
あれも、照が選んでくれたが…。
俺、そういうの全く分かんねぇし。
とりあえず、そういう事だからあの化粧水とかは残しておけない」


やはり、あれは真湖さんの為に。


「今回急だったから、照に頼んだけど。
今度、一緒に買いに行くか?」


「え?」


「やっぱり、そういうのって合う合わないとかあんだろ?
たまに使うくらいならあれだが、なんつーか、俺ら付き合ってるなら、たまにじゃないだろうし…毎日のように使ったら直ぐなくなるかもだし、なんつーかその…」

段々と中さんがそうやって話しながら顔を赤くするから、私迄釣られて顔が赤くなって来る。


「…そうですね。
私の肌に合わなかったら、言います!」


私は肌が強いから、多分大丈夫だろうけど。
頻繁に使っていたら直ぐになくなるかもしれないな。
次は、中さんと一緒に買いに行けたらいいな。


< 128 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop