朝なけに
私は修司さんのお店から出ると、すぐに中さんの姿を探す。
駅の方だろうか?と思いそちらに走って行くと、コンビニで買い物をしている中さんの姿を発見した。


私もコンビニの中迄入って行こうか、と思うけど、流石にそれは辞めた方がいいだろう。
なら、中さんが出て来た所に通りかかって、偶然を装うか?
そんな事を考えていると、中さんがコンビニから出て来た。


どうしよう、と思いながら、中さんの後を着いていく。
まるで、尾行しているみたい。
いや、みたいというか、まさにそれ。


10分程それが続くと、中さんは綺麗なマンションの前で立ち止まる。
そして、急にこちらを振り返った。
中さんは私を見ても全く驚かないから、私が後を着いて来ていることに気付いていたのか。


「お前、ストーカーかよ」


「いえ、謝りたくて」


違った。
オレンジジュースのお礼を言うんだった。


「俺も悪かったな。
お前はなんも知らなかっただろうし」


「いえ。本当にごめんなさい」


「分かった。謝罪は受け入れてやるから、さっさと帰れ」


「え、いや…」


中さんを怒らせたままなのが不安で、こうやって追いかけて来たのだけど。
だから、目的はもう達成されたのだけど。


足が動かない。
中さんと離れたくなくて。


「来いよ。抱いてやるから」


中さんはそう言って、マンションの建物に入って行く。


抱いてやる、って…。
それって…。


どうしよう、と思いながらも、中さんのその背を追った。



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