期限付きの政略結婚 〜過保護な副社長とかりそめ妻のすれ違い恋愛事情〜
季節が一周し、年が明けて少ししてからのこと。

「再来月、ハワイに行こうか」

「ハワイですか?」

ある日、帰宅した斗真さんが、まだ起きていた愛菜を抱き上げながら言った。

「一週間ほど仕事を休めることになったんだ。前回、瑞穂は全く観光できなかっただろうからな」

クスリと笑う斗真さんに、罰が悪くて口を尖らせる。

確かにあの時は食事もルームサービスだけだったし、ホテルと空港の往復しかしていない。

事前に考えていた計画は何も叶わず、ただ旅費で散財しただけだった。

あれ以来、二度とお酒は飲まないと誓っている。

もちろん、あの日があったおかげで愛菜に会えたことには感謝しているけど。

「なるべく愛菜に負担がかからないように、向こうではゆっくり過ごせばいい」

「そうですね、行きたいです。いつかもう一度斗真さんと行きたいと思っていたから」

へへっとはにかむと、斗真さんは穏やかに微笑んで、私の頭をポンポンと撫でた。

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