死神キューピッド
「本当にキレイなところだね。一面の菜の花が黄色いカーペットみたい。こんな場所に住んでみたかったんだ」


「知ってるよ」


虹太が手慣れた様子でラーメンをぱぱっと作る。


「はい、おまちっ!」


ラーメン屋の店主さながらに、味噌ラーメンをテーブルに置いた虹太に吹き出した。


あー……、なんだかものすごく懐かしい。


湯気の向こうで、屈託なく笑ってる虹太が愛おしい。


ズルっとひとくち啜って、空いてる左手の親指を立てて、虹太に向ける。


うんっ、やっぱり虹太の作るラーメンは最高だ。


「ラーメン啜りながらさ、笑い合える関係って、いいよね」


「ん、俺もそう思う」


しずかな部屋でラーメンを啜る音だけが響いて、やがて窓のそとから視線を動かすと、虹太と目が合った。


< 102 / 117 >

この作品をシェア

pagetop