死神キューピッド
「私さ、虹太と暮らしてたあの部屋で、ずっと虹太のことを待ってるつもりだったんだけど。ホントは入院してたんだね。あの部屋で虹太を待ってたのは全部、夢のなかの出来事だったんだね……」
ゆっくりと目を伏せた虹太が、黙って首を横に振る。
「あれは、夢じゃない。昏睡してる柚の体から、柚の心だけが抜け出しちゃったんだよ。で、あの部屋に戻って、俺のことを待ちわびて泣いてた。病院から脱走した柚の心を、あの部屋で見つけたときには、狂いそうだった。いじらしくて愛おしくて、たまらなかったよ」
「幽体離脱しちゃったってこと……?」
「どうだろうな、俺もその辺の話には詳しくないから」
立ち上がった虹太が、背中から私をくるむ。
その手に、自分の手をかさねて、ふうっと息をはく。
ゆっくりと目を伏せた虹太が、黙って首を横に振る。
「あれは、夢じゃない。昏睡してる柚の体から、柚の心だけが抜け出しちゃったんだよ。で、あの部屋に戻って、俺のことを待ちわびて泣いてた。病院から脱走した柚の心を、あの部屋で見つけたときには、狂いそうだった。いじらしくて愛おしくて、たまらなかったよ」
「幽体離脱しちゃったってこと……?」
「どうだろうな、俺もその辺の話には詳しくないから」
立ち上がった虹太が、背中から私をくるむ。
その手に、自分の手をかさねて、ふうっと息をはく。