死神キューピッド
虹太が止めてくれなかったら、きっと言葉にしちゃうから。


それでも無言の虹太に、心が折れた。


だって、離れたくない。


もう、ひとりは嫌なんだよ……。


じっと虹太を見据えて、なけなしの力をかき集めて、お腹の底から声を、しぼりだす。


「どうして……、死んだりしたの?」


精彩を失った虹太の瞳が、私を見る。


ゆっくりと、虹太が、膝を折って、へたりと床に座り込んだ。  


虹太が、連絡も無くいなくなるはずがない。


突然消えるなんてこと、虹太がするはずない。


だから、私は振られたんだって、全力で思うようにした。


最悪の想像は、いつも私をこの世界から連れ去りそうになった。


だから、この部屋で、虹太が帰ってくるのを待っていたの。


「虹太がいなきゃ、生きていけない……」


零れ落ちた本音に、声がゆがむ。


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