死神キューピッド
「だから、この小さな部屋に必死にしがみついてたの。虹太のぬくもりの残るこの部屋で、息をひそめてた。もし、どこかで目にしたニュースに、新聞に、虹太のことが載ってたら、きっと私は受け止められなかった」


「ごめんな、柚」


虹太の頬が、静かに濡れていく。


「自分でもどうしたらいいのか、わからなくて。こたつのなかで高校時代の夢ばっかり見てたよ。一緒に歩いた通学路とか、仲良くなった文化祭とか……」


帰ってきた虹太は鏡に映ってなかったけど、それでもよかった。


「……最初から、わかってたんだな」


「ごめんね、それでも虹太と一緒にいたかった。全部、私のわがままだよ」


しばらく黙っていた虹太が、ゆっくりと顔をあげる。


「あのさ、もし俺が死神だったらどうする?」


「それなら、今すぐ私も連れてって!」


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