絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣
次なる視界/その2
祥子



麻衣の突破力は、ますますアップしてるんじゃねえのか

今日なんか、もろ敵陣に実質一人で乗り込んで密室の7人余りを前に謝罪はするけど反省してるとは言えないってぶち上げ、狂犬を了解させちまったってんだからな…

ほんでだ、返す刀でなんと、あんな形で南玉をおん出たばかりなのに、ドッグスともども出戻りさせろってんだもん…

どう考えても、ふざけんなバカヤローだって、普通は

まあ冷静に考えてみれば、麻衣はしたたかに計算して、伏線なり既成事実化への布石を巧みに打ってきてるよ

おそらく狂犬は今日の決断の前に、しっかりかみ砕いていたはずだ

麻衣と我々が、いざ新生南玉連合にリターンした場合、どんな影響がもたらされるかをさ

その上で了としたんなら、狂犬の描く南玉連合再建像とは一体…


...


「麻衣がイカレてるのは向こうも先刻承知なんだ。もうお前が南玉へ再殴り込みするのを応援する立場だろう。私もすっかりその気になった(笑)」

私ははっきり言ってやったわ

「”再殴り込み”か…。それなら私も麻衣さんにそれ、やってもらいたいわね。で、三田村先輩…、そうなるとどんな持って行き方が効果的でしょうかね」

アハハハ…、真樹子さんもその気なってくれたようだ

「そうねえ…。マキが言った通り、ポイントは横田競子になるわよね、やっぱり。今巷ではさ、火の玉で英雄になって、この子が話題の中心だから。横田と麻衣の決着は、同じ組織内の中で互いの信条をぶつけ合うステージへってところに誘導するか…」

うん…、さすがだな、三田村峰子は

...


「あと、ドッグスに限れば、事実上南玉の対抗基盤となるキャビネットへの結集勢力を水増しで喧伝してやってさ、南玉メンバーの危機感をあおるってのもね…。何しろ走りの部隊の頭数じゃあ、真樹子さんの率いる部隊だけでも、あっちを圧倒するのは明らかだし。狂犬さんが新しい南玉連合をどういう方針で考えているにせよ、連中としては焦るでしょ、やっぱり」

うん、言えてるわ、これ

はは、麻衣もさすがだ

今の段階で、南玉は都県境最大勢力の座を明け渡したことになる上、木戸が出たとしたら、キャビネットにドッグスを連れて参画と見るだろうし…

こりゃ、私らの出戻りも現実味を帯びてきたかな(笑)




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