絶叫、そして契り/『ヒート・フルーツ』第1部終盤エピソード特別編集版❣
次なる視界/その3
祥子


「…しかしさあ、今回は間違いなく巷の少女たちを目覚めさせた訳だし、その大多数はキャビネットの傘下に集まるでしょう?場合によっては殺到することもね。こう見てみると、キャビネット構想ってのは機を得ていたわね」

おお…、アンコウさんの指摘、的を射てるわ

「アハハハ…。南玉サイドはさあ、レディーキャビネットなんて、得体のしれないいかがわしい集合体構想だって高をくくっていただろうにね。真樹子さん、南玉サイドへの揺さぶりってことでの思い付きだったけど、なんか化けちゃいそうね」

「そうねえ…。今も自薦他薦で毎日のように照会があるし、選別しないんだったら、かなりの数が集まるわ。その他に、片桐さんの部隊とかがこっちサイドで活動するし…。ここに木戸が元南玉公認チームのドッグス連れて加わわったら、南玉サイドは単純にダメージ大きいでしょうよ」

うん…、そもそもキャビネット構想を流布したのは、一種のハッタリだったしな(笑)

発案者の麻衣と真樹子さん、今の言のとおり、正直、予想外のヒットに驚いてるようだ

そして集まったその頭数は、そのまま真樹子さんが統括することになるよな…

ということになれば…


...


「素朴な疑問だが…、キャビネットが反南玉って立ち位置を正式に明確化すれば、南玉側からしたらさ、今の流れじゃ数では勝ち目なくなるってことはわかりきってるだろう。なら、なんだかんだ言っても数を増やす方策をとらざるを得ないんじゃないのか?もう一つの選択肢として、キャビネットと一部提携ってこともあるんだろうが…」

私がそんな疑問をぶつけると、3人ともニヤけてるよ

「そうだね。私は狂犬さんもそこは重要視してると思うよ。そこで、まずは新たな人材のハードルを下げる。今までの反省を踏まえてね。それと実戦力からしたら、ドッグスは本音として戻したいんじゃない?言うまでもなく、祥子がアタマってことも大きいよ。だから、私の復帰は無理でも祥子とドッグスはさ、木戸ちゃんの手から奪い取るという名目で承認される可能性が強いんじゃないかな…」

麻衣はそう言って、私にそのニヤケた顔を向けてきた

「もし、私とドッグスが復帰してお前は戻れないとなったら、どうなるんだ?」

私は即、問い返した

すると、麻衣のリターンは意味深なものだったよ





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