春風、漫ろに舞う
「今日は何にするか。」



冷蔵庫と睨めっこ。

芽来が好きなもん作ってやりたいが、元々あまり食わない方だから迷う。
和食好きな俺たちは、毎回和食ばっかりになるがそろそろ違うもん作ってやりたい気もする。

和食しか作れねえ男とは思われたくない。


そうは思うが、特に思いつくこともなく。
相変わらずの食事が出来上がっていく。



「藤雅〜…？」


「起きたか？」



一通り作り終わったところで。
タイミングよく芽来が起きてきた。


眠い目を擦りながら、ずるずるとタオルケットを引きずってくる。
寝起きの子ども、そのものだ。



「ちょうど起こそうと思ってた。
おはよ。」


「寝ちゃってた…う〜…。」



その様子が可愛くて、愛おしくて。
いつも通り抱き上げれば、ぐりぐりと俺の肩に頭を押し付けて甘えてくる。
寝起きの芽来は甘えん坊だから。


こんな姿、俺以外に見せられるわけねえだろ。
可愛すぎる。
誰にも見せるなよ。
お前は俺のだからな。






< 207 / 341 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop