春風、漫ろに舞う
藤雅side



「イラつきすぎ。
今日実家に帰ってるんだっけ?」


「…ああ。」



この繁華街で1番の売上を誇るキャバクラは、一条の経営してる店で。
その売上を回収しに来た俺は、想定していたより時間が掛かってる事で苛立っていた。


無意識に貧乏ゆすりをしていたようで、十葵に戒められる。



「…会いてえな。
明日の学校終わりまで会えねえとか拷問か?」


「若も芽来ちゃんの前では形無しだな。」


「あいつが居ない家に帰るのも、違和感しかねえからな。
元々は俺一人で住んでたはずなんだが。」


「今じゃお二人の家、ですからね。」


「…藤雅様、大変お待たせ致しました。
こちらになります。」


「話せ。」


「はい、報告させて頂きます。」



オーナーとして、現状を色々聞く。
売上や嬢の話など。
店長に一任しているから、こういう機会に聞いておく。


何件か回った頃。
俺の私用スマホが音を立てた。
私用の方は芽来と十葵と蒼樹しか知らない。

こいつらと一緒にいる今、鳴らしてくるのは芽来しかいない。


どうした?なにかあったのか?
実家に帰ってる時に、ましては…芽来から掛けてくるなんて珍しい。
メッセージアプリでやり取りはしているが、俺から電話をかけない限り掛けてこない。
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