モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
「大丈夫です。この話は家族にもしていませんから。ただ私は学院を卒業後は領地に住まいを移そうかと考えています。それについてだけは話し合っているんです」
「領地にだと……」
「はい……」

 ユリアンはなぜか青ざめた顔でベアトリスを見つめている。その様子が気にはなったが、ちょうどクロイツァー公爵家の屋敷に到着した。

 出迎えるために待っていた公爵家の使用人が外から馬車の扉を開く。

「ユリアン様、送ってくださりありがとうございました」
「あ、ああ」
「……では失礼いたします」

 ユリアンの顔はどことなく引きつっているような気がした。

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