モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
母の問いにベアトリスはうなずいた。
「はい……ピピの様子が今朝からおかしいんです。まるで病に罹ったようにぐったりしていて」
「病? どういうことなのかしら」
母の顔に戸惑いが浮かぶ。他国の王家出身の母は守護精霊について詳しくない。
「いつも元気なピピちゃんがぐったりだなんて心配ね。そうだ、学院長に相談してみてはどうかしら」
しばらく考えてから母が言った。
「学院長ですか?」
「ええ。彼は学生の頃から精霊に関連する資料を読みあさって独自の研究もしていたそうよ。その知識を買われて、召喚式を行う学院の責任者になったんですって」
「そうなんですか? お母様、学院長について詳しいのですね」
「ええ。学院長の夫人は私の侍女だった子なのよ」
「ええ?」
まさかそんな関係だったとは。
「嫁ぐときに国元からついてきてくれた子でね。学院長と偶然出会い見初められて結婚したの。その縁で私もお付き合いをさせてもらっているわ。一見気難しそうだけど、実は融通がきくおおらかな性格だから、トリスちゃんも気軽に話しかけて大丈夫よ」
母はにこりと笑って言う。
「そ、そうですか……」
常に渋面で腕を組んでいる印象が強い学院長の姿を思い浮かべた。
(意外……融通がきくようにはまったく見えないのに)
しかし精霊の知識が豊富だというのなら、なんとか力になってもらいたい。
「はい……ピピの様子が今朝からおかしいんです。まるで病に罹ったようにぐったりしていて」
「病? どういうことなのかしら」
母の顔に戸惑いが浮かぶ。他国の王家出身の母は守護精霊について詳しくない。
「いつも元気なピピちゃんがぐったりだなんて心配ね。そうだ、学院長に相談してみてはどうかしら」
しばらく考えてから母が言った。
「学院長ですか?」
「ええ。彼は学生の頃から精霊に関連する資料を読みあさって独自の研究もしていたそうよ。その知識を買われて、召喚式を行う学院の責任者になったんですって」
「そうなんですか? お母様、学院長について詳しいのですね」
「ええ。学院長の夫人は私の侍女だった子なのよ」
「ええ?」
まさかそんな関係だったとは。
「嫁ぐときに国元からついてきてくれた子でね。学院長と偶然出会い見初められて結婚したの。その縁で私もお付き合いをさせてもらっているわ。一見気難しそうだけど、実は融通がきくおおらかな性格だから、トリスちゃんも気軽に話しかけて大丈夫よ」
母はにこりと笑って言う。
「そ、そうですか……」
常に渋面で腕を組んでいる印象が強い学院長の姿を思い浮かべた。
(意外……融通がきくようにはまったく見えないのに)
しかし精霊の知識が豊富だというのなら、なんとか力になってもらいたい。