モフぴよ精霊と領地でのんびり暮らすので、嫌われ公爵令嬢は冷徹王太子と婚約破棄したい
 六才のジャックは運動が大好きで、ベアトリスについてくる護衛騎士レオを剣の先生にしたようだ。

 柔軟な性格のレオは子どもの先生に向いていて、楽しそうに剣の教室を開いている。

 学習の時間は、字や絵の練習をするグループとレオに剣を習うグループ、残りはサフィに手芸を教わっている子たち。

 そんなふうにベアトリスは、魔法学院での苦痛が嘘のように楽しく充実した時間を送っていた。

 将来の道も漠然ながら見えてきた。

 ユリアンに婚約解消を宣言されたら、この孤児院の支援をするのに加えて領地に行き保護者がいない子どもたちの世話をしたい。

 ロゼ・マイネは孤児だったけれど、優しい院長先生やシスターのおかげで安心して日々を送っていた。今度はベアトリスが子どもたちを幸せにしたいと思ったのだ。

 幸い家族は、召喚式で失敗したベアトリスが立ち直り、やりたいことを見つけたと喜んでくれている。

(がんばってみよう。私は孤児院の子どもの気持ちがわかるし、きっとうまくいくわ)

 前世の記憶を思い出したとき、自分には公爵令嬢なんて無理だと思った。

 でもこうして子どもたちを支援出来るのは、公爵令嬢という立場があるから。

 そう思うとよかったのだと思えた。
< 62 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop