魔法のいらないシンデレラ
(うーん…)

パソコンの画面に目を通した瑠璃は、難しい顔で考え込む。

それに気づいた隣の席の奈々が、どうしたの?と声をかけてきた。

「あ、うん。この間メールした、例の老舗ガラス工房なんだけどね」
「お返事が来たの?」
「そう。これ…」

そう言って、ノートパソコンの角度を変えて奈々に見せる。

「どれどれ?」

近くにいた他の社員も、瑠璃達を取り囲んでのぞき込む。

花火大会の屋台で扱うアクセサリーについて、風鈴のピアスがいいと思い、調べた瑠璃は、京都に古くからあるガラス工房に興味を引かれた。

量産して手軽にネット販売しているお店も多い中、この工房は1つ1つ宙吹きで作り、絵付けも全て手作業と、職人のこだわりが感じられる。

このホテルで扱うにはピッタリだと思い、青木に提案してみると、
「いいね、早速コンタクト取ってみて 」
と言われ、まずはメールでご挨拶してみたのだった。
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