魔法のいらないシンデレラ
いよいよ、花火大会の日が近づいてきた。

週間天気予報を毎日チェックしていた瑠璃は、当日の晴れ予報に胸をなで下ろす。

前日になり、京都から新幹線に乗った清河が、一生が手配したハイヤーで東京駅からホテルに到着した。

「清河さん!」

車から降りる清河に、瑠璃と奈々は笑顔で駆け寄った。

「お待ちしておりました。遠いところをありがとうございます」
「おお、これはお嬢ちゃん達。出迎えおおきに」

清河は、二人を見て顔をほころばせたあと、ホテルを見上げる。

「こりゃまた、おっきいホテルやなあ」

どうぞ、とロビーにうながすと、入口に一生が立っていた。

「清河様。本日は遠いところをお越し頂き、誠にありがとうございます。わたくしは当ホテルの総支配人、神崎と申します」

深々とお辞儀をする一生に、清河も帽子を取って頭を下げる。

「これはこれは、お若いのにしっかりしてはりますなあ。清河です。お世話になります」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。今回、清河様のような素晴らしい職人の方とご縁を頂きましたこと、心より嬉しく思います」
「そうですなあ。普段は私もこんなホテルと関わることなんてなかったんですけど、お嬢ちゃん達が、なんやしらん、ええ子達に思えてな。つい誘いに乗ってしまいましたわ」

そう言って笑いかける清河に、瑠璃達も笑顔を見せた。
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