魔法のいらないシンデレラ
「さてと、そろそろ部屋に戻ろうか。シンデレラは、日付けが変わる前に帰らせないとね」

そう言って一生は、立ち上がろうとする。

瑠璃は、少し考えてから口を開いた。

「あの、日付けが変わるまで一緒にいてもいいですか?一生さんのお誕生日になるまで」

一生は瑠璃を振り返り、驚いた表情を見せてから、とびきりの笑顔になって頷いた。

ソファに二人並んで座り、おしゃべりしながら時間を過ごす。

やがて壁の時計の針が、1番上で重なった。

「お誕生日おめでとうございます。一生さん」
「ありがとう。瑠璃さん」

ふふっと二人で笑い合う。

「やっぱり君は、魔法のいらないシンデレラだね。12時を過ぎてもきれいなままだ」

照れて顔を赤らめた瑠璃を、一生は優しい眼差しで見つめていた。
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