魔法のいらないシンデレラ
「え、私が…ですか?」

企画広報課の部屋の前。

廊下に出てきた瑠璃に、早瀬は事情を話す。

「もちろん、あなたがそんな仕事をする義務はありません。断って頂いて大丈夫です。こちらの仕事が立て込んでいるとか、なんならここ1週間、有給休暇を取っていることにしてもいい。だから…」
「いえ、大丈夫です」
「えっ?」
「大丈夫です。私にやらせてください」

そう言って、瑠璃はにっこり微笑む。

早瀬は状況も忘れて、その笑顔に見とれていた。
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