逃すもんか
タクシーの中でウトウト寝ていたら、平岡さんのマンションに到着していた。
支払いを済ませ入口へ。

入口で平岡さん宅の部屋番号を押す。
「美桜さん、ゆかりです。」

「ゆかりちゃん。今開けるね」

平岡さん宅の玄関のピンポンを力が出ない指で押した。

ピンポン♪
ガチャ! 「ゆかりちゃん……どうして…」

美桜がゆかりを抱えるようにリビングのソファーに座らせた。

「今、ハーブティーを持ってくるね」

「ありがとう…ございます」

美桜さんがすぐにハーブティーを運んできてくれた。

「ゆかりちゃん。まずはコレ飲んでみて。
気持ちも落ち着くと思うからね。」

「は…い」とハーブティーを飲んだゆかり。

「おいしい…」と言ってポロポロ泣き出した。

美桜が直ぐにゆかりの隣りに座ってハグした。
ゆかりの背中をゆっくりとさすっている。

「ゆかりちゃん、何があったの?話せそう?」

ゆかりはコクンと頷いた。
美桜がハグを緩め、ゆかりの手を握ってゆかりの方へ向いた。
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