霊感御曹司と結婚する方法
第三章

空から男子が降ってきた!

 カフェテリアの二階から、人が堕ちてきて、私の目の前に倒れたまま動かない。

 それだけでも驚きだが、もっと驚いたのは、それが村岡さんだったということだ。

 その横には、先程まで、ともにお茶をしながら、始終、私を脅迫していた初対面の女も、あられもない姿で倒れている。

 昼下がりの、静かな高級ホテルのオシャレなカフェテリアは、騒然となった。さっきまで人はまばらだったのに、どこからともなく集まってきた。

 従業員たちが慌ただしく駆けつけ、また別の従業員はどこかに走り去っていく。集まりだした見物人を制止するために、警備員たちもやって来た。

 見物人たちが、倒れている女の方は血まみれだと騒いでいた。彼女が着ている、真っ白の洋服に広がる赤いシミをみてそう言っているのだろう。

(血ではありません。それ、トマトジュースです)

 どうでもいいところで、冷静な自分が顔を出す。でも、自分の身に何が起きているのかというところではパニック状態だ。

 その場にへたりこんで、足が震えてしまってうまく立てない。

 こちらも、どこからか現れて、なぜか私を抱きしめている遠城さんの腕にしがみついていた。

 事の発端は、数日前にさかのぼる。
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