霊感御曹司と結婚する方法
「こんなお金、受け取れません。受け取らなくてもゆくゆくは実家に帰るつもりでいます」
「それじゃだめなのよ。今すぐ彼の前から消えてほしいし、そのために、あなたがお金を受け取ったという事実がほしいの」
「随分、勝手ですよね」
「そのためのお金でしょ。たった、三百万じゃないの。ためらう金額じゃないわ。あなたにとっては大金かもしれないけど」
「嫌ですね。私がほしい金額はこれじゃない。三百万が大したことがないっていうなら、私が本当に欲しかった金額を用意していただかないと」
「いくらよ?」
「向井さんからは、三千万円いただきました。三百万は私が取られた慰謝料です。だから、合わせて三千三百万、私に支払ってください。現金一括で。そうしたらすぐにでも実家に帰ります」
「それで交渉しているつもりなの? 時間稼ぎかしら? あなたは、この金を受け取って今すぐ自分の家に帰るのよ。あなたに選択権はないのよ。受け取るまで帰さないわよ」
「それでも嫌だと言えば?」
「あなた、数日後に失踪することになるかも」
「……脅迫ですよね」
「どうかしら。でも、私を怒らせたら、本当にタダじゃ済まないのよ? 私にはそれなりの人脈もあるから」
脅しではないかもしれない。そういう迫力はこの女には十分ある。
ここを切り抜けるには、周りに気付いてもらうしかないが、どうすればいいか。
「そうですか……。それは怖いし心配だから、あなたが本当に怒っているか、素顔を見せてくださいよ。ついでに、その厚化粧もとって」
私は手に持っていたトマトジュースを目の前の女の顔にめがけてぶちまけた。
思ったより、彼女の上半身の広範囲にかかったようで、彼女の真っ白なジャケットは派手に汚れてしまった。
内心ではとても申し訳なく思っていた。彼女にではなく彼女の素敵な洋服に。でも、もう引き返せない。
「素敵なスーツが台無しですね。その、一生物で世の女性たちの垂涎の的のバッグも」
私は、立ち上がって彼女の頭上から声をかけた。
「この三百万で弁償しましょう。これで私はお金を受け取ったことになりますよね?」
彼女はしばらくあっけにとられて無言でいたが、いきなり立ち上がって叫んだ。
「この金額で足りると思ってんの?! 世間知らずの貧乏人が! ほんっと、男の趣味ってわかんない。こんな女のどこがいいワケ?」
そう言うと、バッグから何かを取り出して私に向けた。
「お金を受け取ったのなら、次は目の前から消えてもらう約束だったわね」
私が、それが拳銃であることに気がついたときには、既に引き金が引かれていたようで、しかし、目の前の女はかなり慌てていた。
「なにこれ、壊れてんの?」
状況が飲み込めなくて呆然としていたら、もう一度女が銃口を私に向けた。
私は反射的に後ろに下って身構えたとたん、いきなり目の前のテーブルが爆発したような大きな音を立てて、崩れた。
ここでやっと周りが騒然としだした。
私の目の前にはなぜか村岡さんが転がっていた。
あの女もスカートが捲れて、パンツ丸出しで豪快にひっくり返っていた。彼女のサングラスが割れてはずれて、この人、こんな顔だったんだと冷静に見ている自分がいた。
なぜか、遠城さんも飛んできて、大きな体で私をかばうように抱きしめていた。おかげで私は周りの見世物にならずにすんだ。
しばらくして救急か、警察か、はたまた消防か、ものものしい服装の人たちがやってきた。
その後のことはあんまり覚えていない。気がついたら私は警察署にいたのだった。
「それじゃだめなのよ。今すぐ彼の前から消えてほしいし、そのために、あなたがお金を受け取ったという事実がほしいの」
「随分、勝手ですよね」
「そのためのお金でしょ。たった、三百万じゃないの。ためらう金額じゃないわ。あなたにとっては大金かもしれないけど」
「嫌ですね。私がほしい金額はこれじゃない。三百万が大したことがないっていうなら、私が本当に欲しかった金額を用意していただかないと」
「いくらよ?」
「向井さんからは、三千万円いただきました。三百万は私が取られた慰謝料です。だから、合わせて三千三百万、私に支払ってください。現金一括で。そうしたらすぐにでも実家に帰ります」
「それで交渉しているつもりなの? 時間稼ぎかしら? あなたは、この金を受け取って今すぐ自分の家に帰るのよ。あなたに選択権はないのよ。受け取るまで帰さないわよ」
「それでも嫌だと言えば?」
「あなた、数日後に失踪することになるかも」
「……脅迫ですよね」
「どうかしら。でも、私を怒らせたら、本当にタダじゃ済まないのよ? 私にはそれなりの人脈もあるから」
脅しではないかもしれない。そういう迫力はこの女には十分ある。
ここを切り抜けるには、周りに気付いてもらうしかないが、どうすればいいか。
「そうですか……。それは怖いし心配だから、あなたが本当に怒っているか、素顔を見せてくださいよ。ついでに、その厚化粧もとって」
私は手に持っていたトマトジュースを目の前の女の顔にめがけてぶちまけた。
思ったより、彼女の上半身の広範囲にかかったようで、彼女の真っ白なジャケットは派手に汚れてしまった。
内心ではとても申し訳なく思っていた。彼女にではなく彼女の素敵な洋服に。でも、もう引き返せない。
「素敵なスーツが台無しですね。その、一生物で世の女性たちの垂涎の的のバッグも」
私は、立ち上がって彼女の頭上から声をかけた。
「この三百万で弁償しましょう。これで私はお金を受け取ったことになりますよね?」
彼女はしばらくあっけにとられて無言でいたが、いきなり立ち上がって叫んだ。
「この金額で足りると思ってんの?! 世間知らずの貧乏人が! ほんっと、男の趣味ってわかんない。こんな女のどこがいいワケ?」
そう言うと、バッグから何かを取り出して私に向けた。
「お金を受け取ったのなら、次は目の前から消えてもらう約束だったわね」
私が、それが拳銃であることに気がついたときには、既に引き金が引かれていたようで、しかし、目の前の女はかなり慌てていた。
「なにこれ、壊れてんの?」
状況が飲み込めなくて呆然としていたら、もう一度女が銃口を私に向けた。
私は反射的に後ろに下って身構えたとたん、いきなり目の前のテーブルが爆発したような大きな音を立てて、崩れた。
ここでやっと周りが騒然としだした。
私の目の前にはなぜか村岡さんが転がっていた。
あの女もスカートが捲れて、パンツ丸出しで豪快にひっくり返っていた。彼女のサングラスが割れてはずれて、この人、こんな顔だったんだと冷静に見ている自分がいた。
なぜか、遠城さんも飛んできて、大きな体で私をかばうように抱きしめていた。おかげで私は周りの見世物にならずにすんだ。
しばらくして救急か、警察か、はたまた消防か、ものものしい服装の人たちがやってきた。
その後のことはあんまり覚えていない。気がついたら私は警察署にいたのだった。