霊感御曹司と結婚する方法
「待ってくれ、礼も言いたい。義姉の拳銃のことだ。銃弾を抜いておいたのは、あなただろう? それで、僕の会社の従業員は助かった」
彼女は振り向いて、再び俺を見据えた。
「実はあなたも、あの義姉といて疲れたんだろう? 予測不能で、何をしでかすかわからなかっただろうからな」
俺は、彼女に優しく微笑みかけたつもりだ。しかし彼女は笑わない。
「それでは、生ぬるいか。一歌に気に入られたあなたが、一歌にどんな酷いことをされてきたのか、男の僕に想像させるのは虫唾が走ることだろうな」
彼女は表情を崩さず黙っている。
「あなたも周りの言いなりになって、僕の元に嫁ぐことが嫌だったということだろう? 結局のところは」
それでも、彼女は表情を崩さない。
「あなたのその美貌を、あなたの周りの男たちは利用する。あなたの意志に反して。そして、男嫌いなあなたは、その屈辱に我慢できなかったんだ。……それで男が嫌いになったということもあるかな?」
ここで、彼女は俺から目を逸らした。つまらなさそうな表情をして。俺はさらに続ける。
「しかし、全てはあなたのいい方に転がったんじゃないか? 思うほどの騒ぎになることなく、きれいに収まった。心に闇を抱えた兄夫婦は、あなたの恰好の標的となってしまった。そのことは、あなたを利用しようとする者たちには、十分な脅しになったんじゃないか? もう、誰もあなたを利用しようとは思わない。あなたは、僕との婚約が破談になって、慰謝料も手に入れただろうし、自由も手に入れた」
彼女はしばらく沈黙したのち、ふっとため息をついた。
「もう婚約解消になりましたし、この先、私はあなたと関わることはありません。安心してください」
「なるほど。つまりそれは、僕が命拾いをしたということだろうか?」
しばらく間があってから、彼女は答えた。
「……男の人は、みんな自分勝手な人ばかり。女を利用することしか考えない。だから、嫌いなんです。でも、はじめから私の結婚相手が、あなたみたいな人だって知っていたら、素直に結婚しようと思ったかもしれない」
「それは、どうかな? 嬉しいことをいってくれているけど。場合によっては、僕は自信がない。あなたのその美しさに、いつしか心を蝕まれ、あなたの標的になったかもしれない」
一瞬だけ彼女の口元が微笑むように見えた。
「もういいですか? 母から電話がかかってきました」
彼女はどこかで、マナーモードで振動するスマートフォンを確認することなく言った。
「急ぎのところを申し訳なかった」
俺も軽く微笑んでみせた。
「では、私はこれで失礼します」
彼女は軽く会釈をして去っていき、俺はその姿を見送った。
彼女は振り向いて、再び俺を見据えた。
「実はあなたも、あの義姉といて疲れたんだろう? 予測不能で、何をしでかすかわからなかっただろうからな」
俺は、彼女に優しく微笑みかけたつもりだ。しかし彼女は笑わない。
「それでは、生ぬるいか。一歌に気に入られたあなたが、一歌にどんな酷いことをされてきたのか、男の僕に想像させるのは虫唾が走ることだろうな」
彼女は表情を崩さず黙っている。
「あなたも周りの言いなりになって、僕の元に嫁ぐことが嫌だったということだろう? 結局のところは」
それでも、彼女は表情を崩さない。
「あなたのその美貌を、あなたの周りの男たちは利用する。あなたの意志に反して。そして、男嫌いなあなたは、その屈辱に我慢できなかったんだ。……それで男が嫌いになったということもあるかな?」
ここで、彼女は俺から目を逸らした。つまらなさそうな表情をして。俺はさらに続ける。
「しかし、全てはあなたのいい方に転がったんじゃないか? 思うほどの騒ぎになることなく、きれいに収まった。心に闇を抱えた兄夫婦は、あなたの恰好の標的となってしまった。そのことは、あなたを利用しようとする者たちには、十分な脅しになったんじゃないか? もう、誰もあなたを利用しようとは思わない。あなたは、僕との婚約が破談になって、慰謝料も手に入れただろうし、自由も手に入れた」
彼女はしばらく沈黙したのち、ふっとため息をついた。
「もう婚約解消になりましたし、この先、私はあなたと関わることはありません。安心してください」
「なるほど。つまりそれは、僕が命拾いをしたということだろうか?」
しばらく間があってから、彼女は答えた。
「……男の人は、みんな自分勝手な人ばかり。女を利用することしか考えない。だから、嫌いなんです。でも、はじめから私の結婚相手が、あなたみたいな人だって知っていたら、素直に結婚しようと思ったかもしれない」
「それは、どうかな? 嬉しいことをいってくれているけど。場合によっては、僕は自信がない。あなたのその美しさに、いつしか心を蝕まれ、あなたの標的になったかもしれない」
一瞬だけ彼女の口元が微笑むように見えた。
「もういいですか? 母から電話がかかってきました」
彼女はどこかで、マナーモードで振動するスマートフォンを確認することなく言った。
「急ぎのところを申し訳なかった」
俺も軽く微笑んでみせた。
「では、私はこれで失礼します」
彼女は軽く会釈をして去っていき、俺はその姿を見送った。