純・情・愛・人
「・・・薫」

(ほど)いた唇で低く名前を呼ぶ。宗ちゃんの『愛してる』はいつも、たった一言の中に込められてるから。見つめ合うだけでいい。伝わる、全部。

「今度マンションに連れて行く。楽しみにしていろ」

淡い笑みを残し、点々と連なる街灯の光の下、宗ちゃんの後ろ姿も小さくなっていった。

ここから始まるのは道理を外れた道。
弱くなって迷わないように。
諦めて立ち竦まないように。

宗ちゃんの安らぎになりたいなら。
宗ちゃんの居場所を守りたいなら。

愛を叫ぶより勇気を振りしぼれ、わたし。



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