愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
千賀子がニヤニヤしながら南を見る。
「……なに?」
「瀬那さんが大好きなんだね」
「か、からかわないで」
〝好き〟に〝大〟まで付けられて狼狽える。アイスコーヒーが入ったグラスに口をつけようとしたら、ストローが頬に刺さった。無様過ぎて笑えない。
「そもそも南を好きじゃなきゃ結婚しようなんて言わないでしょ」
「友達なら気楽だから」
彼が南を選んだ理由はそれだけだ。モテすぎるがゆえに愛も恋も面倒になったのだろう。
だから南が好きだと言えば、即座にお役御免になる。
簡単に想像できる未来が目の前にチラついて、南の心をいたぶる。
「はぁ……。仕事はバリバリやるくせに恋愛偏差値はひどいね」
「そんなはっきり言わなくても」
その偏差値は決して高くはないが、せめて常人レベルではありたい。
「とにかく私は告白したほうがいいと思う。モヤモヤして悩んでいるよりずっと健全よ」
千賀子はきっぱりと言い、運ばれてきた熱々の焼きチーズナポリタンにフォークを入れた。