愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

「碧唯くんだって美人な同僚と仲良くしてるじゃない」
「なんの話だ」
「昨日、咲穂さんと楽しそうに外務省から出てくるのを見たの」


碧唯の眉がピクリと動く。


「毎晩帰りが遅いのは、彼女と一緒にいるからでしょう?」
「仕事だ」


腕を組んで歩いていた碧唯を思い出し、胸が捻り潰されたように痛い。
碧唯は、南が眠れずに悶々としていたとは想像もしないだろう。


「腕を絡めて歩くのが仕事なの?」


そんなことが言いたいんじゃない。もっと建設的な話をしたいのに、暴れだした心が勝手に唇を操る。


「今夜は帰ってくるかなって毎晩ここで待ってる私のことなんて、頭にもないでしょ」


売り言葉に買い言葉。したくもない言い合いになる。
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