愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
南だって小西くんはどうしてる?と千賀子に聞くときがある。それと同じだ。
《それはどうかなぁ》
ふふふと含ませたように笑い、千賀子が先を続ける。
《でも付き合ってないって、瀬那さんからいきなりプロポーズされたの? それとも南から?》
「あ、えっと……きっかけを作ったのは私で、プロポーズをしたのは碧唯くん、かな」
南は、碧唯との経緯をなるべくわかりやすく順序立てて話していった。
改めて言葉にすると、ずいぶん大それた決意をしたものだと感じる。
でも実感はまだなく、まるで人ごとのよう。親戚や友達の話をしているみたいだ。
結婚なんて自分には遠いものだったのに、ひとたび流れに乗るとあれよあれよという間にいろいろと決まっていく。激流に飲み込まれたみたいだ。
《南、子どもが大好きだったよね。でも友情婚か……そういうのもアリかもしれないね》
「千賀子は反対するかと思ったんだけど」
そんなのやめなさい、考えなおしたほうがいいと言われるのも覚悟していた。