愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~
「じゃ、南さん、私行かなくちゃ。長々とすみません。お疲れさまでしたー」
「お疲れさまでした。デート楽しんでね」
満面の笑みで手を振りながら去っていく真帆を見送り、南もバッグを肩に提げてロッカールームを出た。
金曜日の夜はいつにも増して、同僚たちみんなが浮足立つ。週末を前にしているからお泊りコースだろうか。
(私はなんの約束もなく直帰だけどね)
心の中で自虐しつつエレベーターを待っているときだった。
バッグの中でスマートフォンがヴヴヴと鈍い音を伝えてきた。その振動の長さから電話の着信だとわかる。
(お母さんかな)
帰りにスーパーに寄ってなにか買ってきてほしいとか、そういった用件かとあたりをつけたが……。
「えっ、碧唯くん?」
予想外の人物の名前が画面に表示されていた。
瀬那碧唯――南の高校時代の部活の先輩である。