愛はないけれど、エリート外交官に今夜抱かれます~御曹司の激情に溶かされる愛育婚~

じつは碧唯は三日前にイタリアから帰国していた。
空港に迎えにいったが、外務省からも人が来ていたため出迎えただけで南は撤収。数日間は仕事や生活の準備などで忙しいというので、電話でのやり取りだけだった。


《せめてタクシーに乗ったほうがいい》
「電車が止まってるならわかるけど、タクシーに乗ったら無駄遣いになります」
《それじゃやっぱり迎えに行くよ》
「碧唯くんが自宅からここへ到着するまでに、私のほうはアパートに着いちゃうよ」


南がそう言うと、ようやく納得したらしい。碧唯は《わかった》と引き下がった。

(碧唯くんって、意外と過保護なタイプなのね。一応は婚約者だし、友達として心配してくれているんだろうけど。結婚を決めてから、その傾向がいきなり強くなった気がする……)

首を捻ってここ一カ月間を振り返ると、気のせいとも言いきれない。
なにかにつけて南に対して甘い。目も、態度も。
単なる友達でいたときとは明らかに違う。

(もしかして私、溺愛されてる……?)

まさか、そんなはずはない。
うっかりうぬぼれた自分を超高速で否定する。
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