なぜか推しが追ってくる。
エピローグ




その後の話をしよう。


まず、恭くんがヒーローを演じたあの舞台は、全ての日程で大成功をおさめた。

わたしも最終日にもう一度見に行ったけれど、本番を経験することでヒロイン役の原さんの演技にもかなり深みが出ていて、同じ内容でも新鮮な気持ちで楽しむことができた。


原さんはあれから逃げようなんて考えることもなく、むしろ他の演者さんたちに歩み寄る姿勢を見せているのだと恭くんから聞いた。

「原さん、瑞紀ちゃんの言葉に思うところがあったみたいだよ」と恭くんは言うけれど、彼女は自分で考え自分で変わったに過ぎないとわたしは思う。



そして、その原さんはもう一つ大きな仕事を──いや本当にまじで、素晴らしい仕事をしてくれた。


『千秋楽ありがとうございました~! 天羽恭くんとも思い出に一枚♡』


そんな文言と共に、原さんは自身のSNSで恭くんとのツーショット写真をアップした。

なんとそれがバズりまして。


< 205 / 223 >

この作品をシェア

pagetop