【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜

四章 溶けない氷

───あれから六年の月日が流れた。


シャルロッテは十六歳となり、ディストン侯爵家に帰ることなく、まだ城に住んでいる。

腰まで伸ばした艶やかな白髪と雪のような肌。
透き通るような赤い瞳と大きな丸い目。
同じ年の令嬢よりも幼く見える理由は皆が知っていた。
その過酷な環境から抜け出して、三属性が判明し、城で保護されたからだ。

炎、風、土の三属性の魔法属性を持っており、淑女としても素晴らしい立ち振る舞いが出来るようになった。
孤児院へ赴いたり、自分と同じ境遇にいる子供達を救おうと積極的に動いていた。

この国にはない不思議な容姿ではあるが、両親のように拒絶されて気味悪がられることはなかった。
むしろいつも隣にいるブルックスがシャルロッテのように独特な色を持っているせいか目立つことはない。
廊下を通れば誰もが振り返り、シャルロッテに笑顔で声を掛けていく。

常に笑みを浮かべて、人懐っこく誰にでも優しい女の子。
それが今のシャルロッテ・ディストンだった。
カーテンの隙間から朝日が差し込んだ。
ページを捲る音だけが響いている中、コンコンと扉を叩く音が響く。

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