【コミカライズ企画進行中】透明令嬢の報復〜絶望の炎と甘い闇〜
それなのに、わざわざ今になって侯爵邸にやって来る事もおかしいと思った。
結婚の承諾ならば、今まで通り書類だけでもよかったのではないか。
なのに、こうしてブルックスと共にやって来て父と母にすり寄るような行動を取っている。

父は再び名声と地位を取り戻すことしか考えていない。
母は宝石を眺めながら侍女に「質屋を呼んで頂戴」と声を掛けている。
「これでやっと新しいドレスを買えるわね」という母に愕然としていた。
今はろくに給金も払えずに、使用人はどんどんと減っていっているというのに。
イーヴィーは涙を流しながら訴えかけるようにして叫んだ。


「わたくし達はあの子のせいでおかしくなったのよ……！なのにまたアイツと関わるの！？」

「……なに？」

「あの女がっ、デイヴィッド殿下に擦り寄ったりしなければ、わたくし達は今頃……！」

「今はお前達の無能な話など聞きたくない……！シャルロッテはこうしてディストン侯爵家の為に、我々の為にうごいているではないか」

「……！」

「なのに、お前達は土まみれで……何の役にも立たないではないか」


軽蔑の混じった眼差しはシャルロッテではなくハリエットとイーヴィーに向けらていた。

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