冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「ミュラー家は先代が亡くなり、今は直系ではなく傍系が継いでいてね。指輪のことを詳しく知る者はいないそうだ。それに指輪も壊れてしまったし」
「わかりました」
 指輪について詳しいことが聞けないのは少し残念だが、形見を持っていていいのは嬉しい。

「それから、あの指輪は『時渡りの指輪』と呼ばれていたそうだ」
「え?」
 ぞくりとした。やはりループは指輪が原因だったのだろう。

「指輪は一度時を渡るとその時を覚えていてまた同じ場所に戻るという言い伝えがあるらしい」
「それはどういうタイミングですか?」
 リーンハルトがオスカーに聞く。

「それ以上のことは分からないと言っていた。昔ミュラー家は光属性の人間を多く輩出し、代々アミュレットの作成に携わっていた。だから、呪いに反応するアイテムかもしれない。きっとご両親がレティシアを守るために残してくれたものだろう」
とオスカーが言う。
 
 ――たくさん愛情をくれた母も、もの心つく前に儚くなってしまった父も私を愛してくれていた。

「いいご両親だったのね」
 優しい笑みをうかべオデットが言う。彼女は随分やつれてしまった。早く心安らかになって欲しい。

「はい、私は今も昔も両親に恵まれていて幸せです」
 それがレティシアの言える精一杯。はやく家族が元気になって欲しい。


♢♢♢


 そして十日後に、二人はミザリーの母国アラスタ王国に旅立った。
 陸路は十日かけて伯爵家の馬車で行き、港から船に乗った。これで自国ラクシュア王国を離れることになる。レティシアにとって初めての経験だ。リーンハルトが身軽に動きたいからと言って、供も連れていない。

 乗船してすぐに二人は一等船室に通された。
「ねえ、一等船室なの? 随分豪華じゃない?」
 貴族は皆一等に泊まるものなのだろうか。今回は贅沢な観光旅行ではない。レティシアは少し申し訳ない気がしてきた。
「俺たちは魔法師だからね。船に乗れば、二等船室以下を希望しても、たいてい一等に連れて行かれる」
「え? どういうこと?」
 なぜそのような特権があるのか不思議に思った。
「レティシアは光属性で、俺は水属性だろ。事故があった場合、率先して働けってことだよ。義務ではないけれどね」
「そんな……責任重大じゃない。事故がないことを祈るわ」
 特権でも何でもなく、レティシアは青くなった。
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