ずっと、いっしょにいたいから…

第9話 ずっと一緒にいたいから…ね?




「ごめんね、逆に気を使わせちゃったよね……」

「どうして? そうなっちゃう?」

 神社からの帰り道。海斗の握っていた手の力が強くなる。

「俺はのぞみの気持ちが嬉しい。帰りに家に寄ってよ」

 行きと違って、自然に言葉がポロポロ零れてきた。

「年末だって、私が寂しくないようにって寒い中で一緒にいてくれて、それであんなことになっちゃったし……。いつも私のこと見ていてくれているのに、どうやってお礼を言えればいいんだろうって……」

「のぞみ……」

「私ね、今日の神さまへのお願いで、ちょっと欲張りしちゃったから、おみくじも『調子に乗ってるんじゃない』ってことだと思うんだ」

「何をおまけにしたんだ?」

「ずっと……、海斗と一緒にいられますようにって……。本当なら『受験合格しますように』だけじゃなきゃね」

 海斗はそれを聞いて目を丸くする。

「それでバチが当たったなら俺も同じ。理由も同じじゃんか。それなら、今年も変わらずやっていこうぜ?」

「うん」

 私だけじゃなかったんだ……。だったら、これからも頑張れる……。

「ねぇ海斗、ちょっといい?」

 手を引いて立ち止まる私たち。

 これからお家にお呼ばれするなら、その前にしておきたいことがあったんだ……。

「いつも……、ありがと……。私、経験ないから、今日は……こっちで許して?」

 海斗の頬に私、初めて唇を触れさせた。

「のぞみ……」

 だから、今日はわざとリップグロスを塗らなかった。跡が残っちゃったら……ね。

「初めてだよな? のぞみの……」

「うん。遅くなったけど……、これが今の私の精一杯。お願い……、置いていかないで……」

「置いてく? のぞみを?」

「うん、海斗は強いもん。いつも私はそれに甘えていた……。きっといつか飽きられちゃう……。それが、怖かった……」

「のぞみ、本当に鈍いよな。俺って単純だからさ、全部のぞみ絡みだぜ? 昔のケガも、のぞみが取られないかって俺が勝手に勘違いしたんだし。のぞみは誰にも渡さないよ……。これでいいか?」

「うん」

 両手でそっと肩を持たれて、私も小さく頷いた。



「あ、帰ってきた」

 お家の前には両家の両親が出ていて話しながら私たちを待っていたみたい。

「やっぱりのぞみちゃん美人だわぁ。でも、着替えていらっしゃい。みんなでおせち食べましょう?」

 海斗のお母さんが言ってくれた。

 だからね、二人で考えたいたことをしたの。

 私が海斗のご両親に、海斗は私の両親に向かって……、

「「これからも宜しくお願いします」」

 って頭を下げた。

「ハッハッハッ。こりゃ正月からめでたい話だ。続きはゆっくり中で聞かせてもらおう」

 お父さんたちも大笑い、お母さんたちもホッとしていた顔で迎えてくれたんだ。




 みんなでお正月料理を食べて、1年間受験生を頑張るってみんなの前で誓って。

 今は、海斗の部屋で二人きり。

「のぞみ、今日頑張ってたな」

「でも、私ズルかったよね。本当ならほっぺじゃないほうが良かったでしょ? 弱虫だなぁ私……」

「突然着物着て、どこが弱虫だよ。それにあの場じゃ着崩れしちゃう。あれでよかったんだ」

「そう……?」

 今は普段着に戻っている私を海斗はさっきとは違ってギュッと抱きしめてくれた。

「じゃ、のぞみの唇、今度は俺がもらうよ? いいよな?」

「うん」

 海斗も初めてだって。お互いぎこちなかったけれど、今日は間違いなく新しいことが始まった1日。

 これまでも、そしてこれからも、ずっと一緒にいたいから……ね。


< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

恋の絆は虹の色 【妹でも恋していい?】

総文字数/54,867

恋愛(純愛)33ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
欲しい言葉をもらうには何が必要? こんなに難しいなんて思わなかったよ… お隣どうしの幼なじみの『お兄ちゃん』と、それを追いかけ続けた私。やっぱり年が離れてしまうと恋愛として見てもらえないのかな。どうしたら『妹』じゃなく『一人の女の子』として見てもらえるんだろう。
きみの言葉に恋をして

総文字数/2,740

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
社会人作家として成功を収めていた僕、新橋京介。 でも、その陰には大切な人、 千里が残してくれた1冊のノートがあった。 彼女が残してくれた素直な言葉たち。 これがなければ、僕がここまで来ることはできなかった。 今こそ、これを返す時が来たみたいだ。 そして、今度こそ一緒にこの続きを書いていこう。 これからはきみと一緒に……。
この街のどこかで…

総文字数/4,345

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
千里(ちさと)が楽しみに・ 大事にしている時間と場所がある。 それはとある建物の屋根上でのこと。 「好きなことをして過ごしなさい」 そう言われて過ごす日々は、 言葉どおりにはいかない現実が立ちふさがって……。 だから、誰にも内緒にしている 一人だけの屋上で街を見下ろしたり、 星空を見上げるのがいつしか日課になった。 自分で出来ることが少なくなってきた彼女は、 やりたかったこと、思いついたこと、 空想で生み出したものを一冊のノートに書き溜めていた。 でも……、それを形にする時間は千里に残されていなくて。 「私には……、もう……、できないよ……」 そんな願いを最後に託したのは、 中学時代に一人だけ友だちになれた男の子だった。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop