虹叶×嵐〜あたしの好きな人。〜
3.あたしのパートナー
「ただいま」

ちょっとだけ緊張した。
いつも帰ってる場所なのに、何度も開けてるドアなのに。

虹叶は…

「おかえり」

まだ帰ってないみたいで家にいた。

「た、ただいま…」

ちょうど出るところみたいで、支度はしてあったけど。

「今から出るの?」

「あぁ、夜には実家に着けるようにしようと思って」

「そっか、じゃあ…また来年だね」

来年…あたしたちには来年があるかわからないけど。このまま2年生になれるかは、まだ話し合ってないから。

「星出も帰るんだろ?」

「うん、あたしもそのつもり」

「じゃあ、お先に」

咄隣を通り過ぎようとする虹叶のリュックを咄嗟にグイッと掴んだ。

「あ、待って…!」

「なんだ?」

「あの…っ」

手に持っていた紙袋を差し出した。

急いで買って来たから、そんなたいしたものは用意できなかったけど実家で食べてもらえたらいいなってちょっといいチョコレートを。

「これっ、クリスマスだから…!」

わかりやすく赤と緑のデザインをした紙袋はキラキラと今日の日を物語っている。
いくら鈍い虹叶だってすぐにわかっちゃうよね。

「…ごめん」


胸に刺さる、その言葉が。


やっぱりあたしにプレゼントなんて向いてなかった。


「俺…、何も用意してない」

「…いいの、いいの!なんかふと思っただけだし、てゆーか今断られるのかって」

一瞬思っちゃった、あたしからいらないって言われるのかなって。

欲しい相手はあたしじゃないのはわかってたから。

スッとあたしの手元からプレゼントが消えていく。

「ありがとう」

ちっとだけ触れた手にドキドキした。

何度も触れたことなんかあるのに、今日は特別に。
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