貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「……神山さんは、何ヶ月も前に紺野さんとは別れたって言ってましたよ?」

やっとの思いで反撃の言葉を口にすると、この攻撃は中々のダメージを負わせたようで、紺野洋子は一瞬「えっ!」と怯むのだったが次の瞬間、わざとらしいくらいに甘い表情をしてみせるのだった。

「まあ、一旦は色々行き違いがあって別れた時期もあったんですけど、やっぱり君しか考えられないとか言われちゃってぇ。で、また元サヤに戻ったって感じなんですよぉ。」

……神山透は、本当に紺野洋子と付き合いながら、私との逢瀬を続けていたのだろうか。
そんな卑怯な男だったのだろうか。

あんなに私に対して紳士的で優しい神山透が?
……いや、私だけではなく、幼い頃から女性は大事にしろと厳しく躾けられてきたはずの神山透が、女性を弄んでいる??

私の知る神山透と、紺野洋子が語る神山透の人物像がなんだか一致しない。
私の知る神山透はたまに暴走することはあるが、誠実、実直を絵に書いたような男のはずなのだ。

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