貴方と私は秘密の✕✕ 〜地味系女子はハイスペ王子に夜の指南を所望される〜
「……紺野さん、本当に神山さんとお付き合いされてるんですか?私の知っている神山さんと、紺野さんの仰る神山さんでは、随分人柄が違う気がするんですが」
「はあ?何言ってるの?そんなの付き合ってるに決まってるじゃない!」

中々神山透との関係を辞めると言わない私に苛ついているのか、語気が荒い回答が返ってくる。

「そういうあんたなんか、神山さんと付き合ってなんかいないんでしょ?ただホテルにノコノコついて行く、せいぜいセフレ扱いなんでしょ?」

……痛いところを突かれてしまった。

確かに私達は付き合っていない。
「特別なセフレ」とは言っているものの、それはあくまでこちらが勝手に自称してるだけ。
神山透からは、なんとなくある程度の好意は持たれているような気はするけれど、それがどの程度のものなのかなんて、確認なんてしてない。

面倒くさいことを後回しにして、本能のままに行動してきたツケがここに出てきてしまった。

私は特別と自称しているものの、ただのセフレ。彼女ではない。

セフレの立場では、彼女(ライバル)相手に強く主張したところで、存在を軽んじられてお終いだ。
いくら、私だって彼を好きなのだ!と叫んだところで「彼女」の方が立場は上なのだから、彼を手に入れる権利は、ミラクルが起きない限り、無いに等しいのだ。

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