タイムスリップ・キス
Time1.失恋宣言)
神代伊織(かみしろいおり)先輩、私の好きな人。



入学したばかりの頃、落とした生徒手帳を拾ってくれたことがキッカケで話すようになった。

優しくて、カッコよくて、いつでも笑ってて、そんなの好きになる以外選択肢がなくて…



片想いして半年以上が経ったある日。

思い切って伊織先輩を学校の屋上に呼び出した。



2022年1月6日、新学期が始まった今日。

今年になって初めて伊織先輩と会う今日が、記念日になるといいなってそう思いながら。



ドキドキと心臓の音が鳴り続けてる、すぅっと息を吸って覚悟を決めた一世一代の愛の告白…

だったのに。

「ごめん、(はる)ちゃん。僕、彼女いるんだよね」

………え?

思いっきり出鼻が挫かれた。

驚きすぎちゃって言葉が出て来ない。

「言ってなかったっけ?クラスは違うんだけど、同じ2年の小西優月(こにしゆづき)ちゃんっていうんだけど」

今初めて聞きましたよ?

そんなすました顔で言われても。

1 つ上の伊織先輩とは学年が違う。

だから1年の私とは校舎も遠くて偶然会うのは結構難しい。

それでもお昼休みには伊織先輩が居そうなところをウロウロしてみたり、用もないのに2年生の校舎の方へ出向いてみたり、帰りの時間には出待ちしてみたりしてた。

でも気付かなかった、気付けなかった…

そんな人がいたなんて!

「隠してたつもりはないんだけど…ごめん、まさか晴ちゃんがそんな風に思ってくれてるとは思わなかったから」

「あ、いえ…いーんです」

あぁ、なるほど…
最初から伊織先輩の瞳に私は映ってなかったってことね。

これでもかと言うほどしつこく話しかけていた日々も伊織先輩にとっては特記事項でも何でもないんだ。

2回もごめんって言われてしまった。

「でも、ありがとう」

優しくにこっと笑った伊織先輩はやっぱりカッコよくてキュンとしてしまった。
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