きみと繋げた雪明かり
旧友

大事な日




「行ってきます……」



ドアを開けて、あまり響かない声でボソッと呟く。



結構早めな時間に自宅を出て、いつもとは少し違う道を歩いている。



7時、通勤する人とか学校が遠い人はもう動き出している時間だけれど、



私は徒歩で学校に行くからこんな早い時間に出るのは新鮮かもしれない。



「眩しっ……」



太陽がよくあたる方角に曲がったせいか、目の前からくる光が眩しくてしょうがない。


久々かもしれない。こんな朝早くに太陽の光を浴びるのは。


出来るだけ薄めにして駆け足で移動すると、目的地である駅が見えてきた。



意外と混んでるな……時間も時間だからこんな感じか。


改札から出てくる人を見ていると、私が通う学校の制服を着ている人がちらほらいて少し気まずい。



親とか先生に言ってはいるけど…知ってる人に会ったら面倒くさいな…



まあ……そんな友達は多くないんだけど。


そんなことより、もし遭遇してしまって「どこいくの?大事な用事?」とか聞かれてしまったら対応に困ってしまう。


あんまり嬉しいことでもないし、黙っておくのが一番だよね。


そう思いながら改札を通って電車のホームに行った。
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