きみと繋げた雪明かり


凛子にそれを伝えると「なにを頑張れって言うの…」と悲しい微笑みを浮かべるだけだ。


でも、こんな日々もいつかは終わる。そう思って耐えることしか出来なかった。


私たちにもハッピーエンドが来るんじゃないかと思っていた。



……でもその騒動は、思わぬ形で終焉を迎えることとなる。



***



最初、凛子の様子がおかしい、と感じたのは朝。


「おはよ、綺麗だねぇ…空」


「う、うん……」


一緒に登校していたら、なんだかいつもより数段清々しそうな顔でそう言ったのだ。


別に前の明るい凛子なら普通なのだから、最近はそんな顔を見せてはくれなかったから変な気持ちになる。


失礼だな、と思って気を入れ直すことにした。





帰り道。凛子がいつもより黙り込んでいる。なんだから珍しくて逆に心配になってきた。


なんだか、周りのものをよく観察しているような気がする。


ついに帰り道が別れる。となった時、凛子はなんだか泣きそうな瞳で言った。



「……凛子?」


「…あ、うん。なんでもない。じゃあね、夜宵。また明日」


夕焼けで表情まではよく見えなかったけど、なんだか切なそうな悲しそうな顔をしていたと思う。






夜、ピロリンと携帯が急に電話画面になり凛子からだったので通話開始ボタンを押す。


それに、こんな時間からだなんて珍しい。なにかあったのだろうか。


携帯を耳に当てると、なんだか冷たい乾いた風の音が聞こえた気がした。


ベランダ…なんだろうか。それだったらやけに風の音が大きい気がするけど。


「凛子、どうしたの?こんな時間に」


「夜宵……ああ、ちょっと声が聞きたくなっちゃって」


凛子の方から声が聞きたいだなんて珍しいと思った。
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