コーンポタージュに一言添えて....。

デート遠足。

 この学校で、デート遠足が行われる。うちのクラスの行き先は、りぼん動物園。デート中は必ず手をつながないといけない。どうなるのか。またしても嫌な予感が...。
   
    ー当日ー
 「潮田、優しく手をつないでくれよ...。」

「分かってる、こう?」

「そうそう!潮田、やればできるじゃん!」

「は?何よ?どんだけわたしが怪力だと思ってるのよ...。」

こないだの事件から私は自分の怪力を気にしていた。私の力が凶器になるなんて。

それに、あのトラブルメーカーの、のりくんとデートか。なんか、疲れそう。


「潮田、俺サルが見たい」

「別にいいけど..」
 

そして、私たちは、さるを見に行った。

 サルが、ウキウキ言ってる。我ながら、相変わらず変な感想。のりくんはなんかあのサル、私に似てるとかいうし。あきた。つまんないなぁ。なんか、ボーっとしてきた。

「眠いの?潮田...?」

その言葉を最後に私は寝ていた。

まさか、あんなことになるとは...。思ってなかった。

 気がついたら、私はのりくんの肩の上で眠っていた。

「のりくん、わたし...。」

「潮田、おはよう。」

そう言って彼は笑う。
けど、のりくんは急に真剣な顔になって、私に言った。

「なぁ潮田。俺らさ、リュック盗まれた。」

「え...?」

どういうこと⁉そういえば、私たちのリュックが無い。でも、一体誰に...?

「ちょっと、待ってのりくん!誰にとられたの?」すると、彼は指さした。

「あいつ。あの猿だよ。潮田」

さ...る...?猿?リュックの中に確か...。

「待って、のりくん!私たちあれがないとご飯食べれないのよ!お弁当!」

元気の源、お弁当がないと私...生きてけないわ!

「分かってる。潮田、どうする?」

「力ぞくでも取り返すしかないようね。」

「潮田、...。何する気...?」

「いい?私、潮田美波は...サルを倒す女よ。」

「....潮田。やめろって...危ない。」

私は彼の忠告を聞かなかった。

よし、行こう。そして私はさるの世界に飛び込んだ。

さるたちが驚いている。けど、私はすすむの....弁当のためにね。

「サルさん私たちのリュック返しなさい!」

「うきー-----!」

私がリュックを取ろうとしているのに対抗するサル...。しぶといわね。

飼育員さんが困ってる。危ないって。
でも私はそれを聞かずにサルに向かって、突撃した。そして私がサルの持つ2つのリュックにたどり着いたとき、リュックの取り合い綱引きが始まった。私は力いっぱい引っ張った。

「コラ、リュックを返せー--!」

圧倒的だった。綱引きは一瞬で終わった。

つまり、私の怪力が勝利へと導いたのだ。

「やったー--!のりくん!取り返した!」

すると、のりくんもさるの世界へと飛び込んできて、言った。

「潮田の...馬鹿。こんなリュック為に無茶して、...心配した。」

「ごめん。」

「でも、潮田...すごくかっこよかった。ありがとう。」

そして、彼は私を抱きしめた。

「のりくん...?」

「潮田...俺...。」

なんだろう。この気持ち。ずっと、待っていたような。


「潮田、俺さ...潮田のこと好きだよ。」


初めて、異性から言われた「好き」は、深く甘かった。のりくん私のこと好きだったんだ...。私は、なんていえばいいか分からなかった。けど、今は夢のことは考えず、ただ純粋に2人で一緒にいたいと思った。

「のりくん...わたし..」

そう言いかけた時、飼育員の人がやってきた。そして、ようやく私たちがサル小屋にいることを理解した。ヤバい。まぁ、当然のことながら、滅茶苦茶..怒られた。

 
 

 もうデート遠足が終わりかけた時、のりくんは言った。

「なぁ、潮田俺たち減点だな」

「え?」減点されるようなことしたっけ?

「手...つないでないし...。」

 あ!そういえば...。忘れてた。そして私たちはもう一度手を繋いで歩き出したのだ。なんか、いろいろあったけど、楽しかったかも。

「のりくん...手冷たい....。」

「そう?」

「いいなぁ、...。」

「なんで?」

「だって、手冷たい人って心が温かいっていうじゃない?」

「俺は、そうは思わない...けどなぁ。」

「え...?」

「だって、潮田...手が温かい人は冷たい人の手を温めてあげることができるんだ。それって、素敵なことだろ...?」

「のりくん...。たまにはいいこと言うね。」

「まぁね。」

手が温かいひとは冷たい人の手を温めることができる...。なんか、いい言葉だな。

「よし!私がのりくんの手を温めてあげる」

そう私が言うと、彼はちょっと照れて、ありがとうとだけ言った。
< 6 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop