私と貴方の秘密の一年間
教師と花見

物騒彼女と天然教師

「桜が満開ですよ、先生」
「そうだな。その花朽ちる時、俺の命も散ってくと考えていた時が俺にもあったな」
「何、この綺麗な光景で不穏な事を考えているんですか…………。でも、今は考えていないって事ですよね!!」
「桜の木で首つりとか、結構綺麗に雅な感じで死ねると思わない?」
「やめてください。桜の木に何を求めているんですか…………」

 放課後、音楽準備室に先生がいる事は知っていたから遊びに来てみたんだけど。どうやら、先生は担任の仕事を最後の最後まで残していたみたいで。まぁ、今顔を青くしてやっている。
 音楽のテストは評価制。今はその評価表を作っているみたい。私は見ないようにしているんだけど。

「生徒の前でテストの評価表を作るって、なんなんですか…………」
「お前が勝手に来ただけだろ。俺は呼んでいない」
「確かにそうなんですが…………」

 勝手に来た私も悪いけど、なんかなぁ。窓の外を眺めているのも飽きてきたし、先生は構ってくれないし。
 後から抱き着いてやろうかな、いや、やめておこう。さすがに、他の教師や生徒にばれたらまずい。

「…………あれ」

 先生の白衣のポケット、何かがはみ出してる。これって、カッター? 
 先生は評価表を作るのに集中しているから、私がカッターを抜き取った事に気づいていない。

 結構新しいかも、汚れてない。へぇ、切れ味良さそっ――――

 刃を出してみると、何故か赤黒い何かが…………。
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