俺が、好きになっちゃダメ?
第4章

雫side


夏休みは、あっという間に去っていき、もうすぐ文化祭がやってくる。
うちのクラスは、ロミオとジュリエットの劇をやることにし、今は文化祭の実行委員の人が前に立って配役や係などを決めている最中だ。



「雫は何にするの?」



背後からは、夏芽の声が聞こえた。
夏休みが終わってすぐの席替えでは、幸いなことに夏芽とは前後になったのだ。



「えー……」



わたしは、劇で何をするのか全く決めていない。
演じる側に回るわけにはいかない。だって、わたしに演技は無理だし、ロミオとジュリエットの中にわたしが溶け込むなんて想像ができない。



「わたしは小道具担当、楽そうだから」



夏芽は、あんまり劇に興味がないみたい。



「確かにねー、わたしも小道具にしよっかなぁ」



「お? ほんとにいっちゃう? でもさぁ、それよりさぁ」



夏芽は、体をくねくねと動かしながら顔がニヤニヤしている。



「雫は、木嶋くんがどうするか分かってから動けば?」



「はいっ?」



思わず、変な声を出した。



「例えばー、木嶋くんがロミオをやる場合は、雫がジュリエットをやらない訳ないよねー?」



「いや、待ってよ……」



「だって、分かるよ。雫は、絶対木嶋くんと一緒になった方がいいもん」



さっきから、夏芽はずっと変なことを言っている。



「それともー、同じものをやったら? 例えば、お城に見立てるもの作るんだったら、絶対1人ではできそうにないじゃん。共同作業できそうだよ!」




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